2015年09月30日
戦時人形展〜平和への祈り〜 村上しま子
9月1日〜29日までの間、太平洋戦争中の庶民の暮らしや、
出征する兵士とその家族の心情を、当時の布を使って
人形で表現した「戦時人形展」が旧来住家住宅のギャラリー
で開かれていました。西脇市和田町在住の人形作家・
村上しま子さんの個展で、作成した約70点が展示されました。
村上さんは戦後50年の節目に、戦死したお兄さんの思いが
脳裏から離れず、一つの区切りとして供養になればと急に
思い立ち、戦時人形を作り戦争の悲惨さを語り継いできました。
今年は戦後70年、人形を作り続けて二十年になられます。
今年を最後の目標とされ、当時の情景、生活場面を人形に託し、
新制作に励まれました。遠い異国の地で戦い散って逝った
お兄さんや、多くの犠牲になった兵士達に「少しでも供養になれば」
と人形展開催の度に、強く願われています。
![20150909-1.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-1.jpg)
「お墓参り」 お父さんはパラオで戦い逝ってしまった
お盆がきてお墓参りに来ましたよ
母子三人、仲良く元気でいます
![20150909-2.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-2.jpg)
「空襲警報」 敵機B29が飛んで来るぞ!
防空壕に避難する母子
![20150909-3.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-3.jpg)
「端午の節句」 優雅に泳ぐ鯉のぼり
初節句を祝って ちまきを手に
出征した息子のいない寂しさに
隠し切れない母の姿
![20150909-4.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-4.jpg)
「洗濯物」 洗濯機もなく川やタライで洗濯していた時代
雪の日も毎日のオムツは川で
道中凍りついて干せない日が度々
こんな光景は見られない平成時代
![20150909-5.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-5.jpg)
「防火訓練」 あちこちで焼夷弾が落される
バケツリレーに励む婦人たち
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
村上さんの兄・信義さんは22歳で出征し満州へ渡り
24歳の時、フィリピンのルソン島で戦死されました。
両親を幼い頃に亡くされ、優等生だったお兄さんは、
しま子さんに勉強をよく教えていたそうです。大好き
だったお兄さんの50回忌を1994年に行なった際
、「兄の生き様を形として残したい」「戦争体験を伝えたい」
と思われました。和裁を35年間していた経験を生かし、
独学で当時の様子を再現した人形を作りはじめられました。
古着は当時、しま子さんが持っていた物もありますが、
ほとんどは、「人形作りに使ってください」と、たくさんの
人に頂いたものだそうです。これまでに140点を完成
されています。
![20150909-6.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-6.jpg)
「召集令状」 赤紙一枚で兵隊に行かなければ
ならなかった新妻の悲しみ・・・
早くも夫との運命の別れとなった
![20150909-7.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-7.jpg)
「最後の面接」 明日は息子が戦地へ旅立つ日
孫を背負い、にぎり飯をお腹一杯
食べさせてやりたい母の願い
![20150909-8.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-8.jpg)
「夫を見送る身重妻」 いよいよ戦地へ旅立つ日
「生まれてくる子のためにも
身体を大事にな」
妻は涙をこらえ「お元気で・・・」
![20150909-9.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-9.jpg)
「戦時中の嫁入り」 昭和19年 戦争真っ最中
「贅沢は敵だ!」と言われた時代
喪服を着た花嫁
三日後に夫は出征した
![20150909-10.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-10.jpg)
「兄の遺骨迎え」 昭和二一年八月 フィリピンの戦場から
遺骨になって帰ってきた兄
無言の対面で流れる涙は果てしなく・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9月1日〜15日でギャラリー来場者が1,000人を超えました。
遠方からもたくさんの人が来られました。それだけ共感する
展示内容であったと思います。戦時中を経験された来場者の
一人は「人形を見るとあの頃を思い出し、涙が出ます。」
「苦しかった思い出が、よみがえってきた。」と話されていました。
そして最後に村上しま子さんは、「心の中では兄に帰って来て
ほしいと願いながら、それを口に出せなかった時代でした。」
「あの戦争を繰り返してはいけません。ぜひ若い人に見てもらい
平和の尊さをかみしめてほしい」と話されました。
![20150909-11.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-11.jpg)
「兄の面会」 明日は満州へ旅立っていく
「もう一度、白いご飯が食べたかったなあ・・・」
お兄ちゃんの最後の言葉
持ち込みを上官に断られ渡せなかった
悔しさ、悲しさ、去っていく兄の後ろ姿が寂しく
涙がほほをつたう
![20150909-12.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-12.jpg)
「志願兵として出征」 母と最後の別れ
「身体に気をつけて、元気に帰ってきて」
母が最後の言葉を残し去っていく
![20150909-13.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-13.jpg)
「夫の遺骨迎え」 出征の時に赤ちゃんだった太郎が
四歳になり、今では母の心の支え
母と子の強い きずな
![20150909-14.jpg](http://www.umekichi-tmo.jp/kishi/info/archives/20150909-14.jpg)
村上しま子さんと、後ろの軍服を着た青年の
写真はお兄さんです。
(芋焼酎)